最終更新:2021年1月5日

退去費用っていくらかかるの?そもそもどういう費用なの?という疑問を解決します!
間取り別の退去費用の平均金額や実例とともに「退去費用とは何か」を解説していきます。
安く抑える方法も紹介するので、退去費用が高額になりそうで不安という人はぜひ参考にしてください!
間取り別の平均退去費用
退去費用は、間取りや室内の状況によって大きく金額が変わります。そのため、明確な「相場」は存在しません。
無人契約機検索サイト「アトムくん」が行ったアンケート調査によると、間取りごとの平均退去費用は以下の表の通りです。
間取り | 退去費用の平均 |
---|---|
ワンルーム、1K、1DK、1LDK | 49,980円 |
2K、2DK、2LDK | 79,924円 |
3DK、3LDK、4K。4DK、4LDK | 90,139円 |
出典:https://www.fnn.jp/articles/-/25377
上の表の通り、お部屋が広いほど退去費用が高くなることが分かります。
室内の状態が悪いと退去費用が高くなる
室内の壁や床、設備の状態が悪いと、退去費用が高くなります。具体的には、上の図のような「入居者がわざと付けた傷・汚れ」や「使い方を誤ったせいで壊れた設備」がある場合です。
故意過失による部分の修理費用は、入居者が負担しなければいけないからです。
逆に、こまめに掃除し、室内や設備を適切に使っていれば、退去費用を安く抑えられます。
以降の項目で、退去費用が高くなる原因と安く抑える方法を細かく説明していきます。
そもそも退去費用とは
退去費用とは「原状回復費用」と「室内のクリーニング費用」の2つを合わせたものです。
原状回復費用とは、住んでいたお部屋を借りた時の状態に戻すための修繕費用です。そのため、お部屋の状態が悪いと原状回復費用は高くなります。
室内のクリーニング費用とは、退去時の専門業者による清掃費用です。従来は大家さんが負担する費用ですが、入居者が負担するのが一般的になっています。
退去費用は、入居時に預けた敷金で清算されます。金額が敷金以下だった場合、差額が返金されます。
もし敷金なしの物件に住んだ場合は、退去時に直接請求されます。
原状回復費用はお部屋の状態によって金額が変わる
原状回復費用は、入居者だけでなく大家さんも負担します。どちらが何を負担するかは、国土交通省による「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で定められています。
入居者が負担する費用は、故意過失によって壊れたり汚れた部分です。経年劣化や普通に使っていて壊れたり汚れたりした(通常損耗)部分は、大家さんが負担します。
以下は、負担区分の一例です。
入居者の負担 | 大家さんの負担 | |
---|---|---|
床 | ・引っ越し作業でついた引っかき傷 ・冷蔵庫下のサビ ・雨の吹きこみによるフローリングの色落ち |
・フローリングのワックスがけ ・家具の設置によるへこみ、設置跡 ・フローリングや畳の日焼け |
壁 | ・台所の油汚れ ・結露によるカビ ・クーラーの水漏れによる腐食 ・タバコなどのヤニ、臭い ・くぎ穴、ネジ穴 ・落書き |
・電気ヤケによる黒ずみ ・画鋲やピンなどの穴 ・エアコン設置によるビス穴、跡 ・クロスの日焼け |
窓・柱 | ・ペットのつけた傷、臭い ・落書き |
・破損していない網戸の張り替え ・地震等の災害で破損したガラス ・熱割れにより破損した網入りガラス |
設備 建具 |
・キッチンの油汚れ、すす ・水回りの水垢、カビ ・設備の破損、故障 |
・エアコンの内部洗浄 ・機器の寿命による設備の故障 |
居住年数が長いと費用は下がる
入居者負担になる傷や汚れであっても、居住している年数が長いと請求金額は下がります。
壁紙や床材、設備などには「耐用年数」が決まっており、年数が経つほど価値が下がっていくからです。
耐用年数は設備によって変わります。以下は、主な設備の耐用年数です。
耐用年数 | 設備 |
---|---|
5年 | 流し台 |
6年 | 壁紙、カーペット、エアコン、インターホンなど |
8年 | 書棚、たんす、戸棚などの金属製ではない家具 |
15年 | 便器、洗面台の給排水設備、金属製の家具など |
例えば、修繕に約3万円かかるクロス(壁紙)の耐用年数と負担割合は、以下のグラフのようになります。
新品のクロスを張り替える場合は100%の負担ですが、3年後(点A)では50%に下がります。
また、6年経過後には0%まで下がるので、入居者はほとんど費用を負担しなくて済みます。
ただし、上記はあくまで目安です。悪質な汚損・破損については、割合が変わる場合があるので注意です。
特約によって入居者負担になる費用もある
契約書に特約があると、通常は大家さんが負担するはずの費用が入居者負担になる場合があります。
特に、和室があるお部屋と「ペット飼育可能」のお部屋には特約が定められていることが多いです。
和室がある場合、退去時の畳の表替えや襖の張り替えを入居者が負担する旨の特約がある場合が多いです。
また、多くの「ペット飼育可能」物件は、特約により「ペットによって傷ついた壁や床の修理費、消臭費用」を入居者が負担するよう定めています。
ペットを飼う場合、退去費用がある程度高額になると思っておきましょう。
室内のクリーニング費用はお部屋の広さによって金額が変わる
室内のハウスクリーニング費用は、お部屋の広さによって金額が変わります。
以下は、間取り別のクリーニング費用の相場です。同じ間取りでも面積によって金額が変わるので、あくまで目安として見てください。
クリーニング費用 | |
---|---|
ワンルーム、1K | 15,000~30,000円 |
1DK、1LDK | 30,000~40,000円 |
2DK、2LDK | 30,000~70,000円 |
3DK、3LDK | 50,000~85,000円 |
4DK、4LDK | 70,000~100,000円 |
ガイドライン上ではクリーニング費用は大家さんが負担する費用と定められています。しかし現状、入居者が負担するのが一般的です。
多くの賃貸契約で、クリーニング費用を入居者負担とする「クリーニング特約」が定められているからです。
また、清掃業者の手配は大家さんや管理会社がします。二重に費用がかかるため、勝手に安い業者を手配するのはやめましょう。
どうしても自分自身で業者を選びたい場合は、大家さんや管理会社に相談してください。
退去費用の実例と体験談
実際にあった退去費用の実例と体験談を紹介します。当サイトRoochが実施したインタビューをもとにしているので、自分に近いケースを参考にしてください。
家賃6万円のワンルームに2年間住んだ場合
敷金 | (6万円) |
---|---|
原状回復費用 | 8万円 |
ハウスクリーニング代 | 3万円 |
退去時の支払い | 5万円 |

原状回復費用とハウスクリーニング代の合計が11万円で、敷金として入居時に6万円支払っていた場合の例です。敷金から差し引いて、退去時に支払った金額は5万円になりました。
家賃7万円の1Kに6年間住んだ場合
敷金 | (7万円) |
---|---|
原状回復費用 | 4万円 |
ハウスクリーニング費用 | 0円 |
退去時の支払い | 0円(敷金3万円返還) |

入居期間が6年と長かったので「普通に住んでいれば仕方ない傷=自然損耗」と判断されて、請求される範囲が小さかったケースです。壁や床についた細かい傷は請求されませんでした。
また、ハウスクリーニング代を負担しなくて良い契約でした。
退去費用は4万円で、預けていた敷金7万円のうち3万円が返金されました。
家賃9万円の2DKに5年間住んだ場合
敷金 | (0円) |
---|---|
原状回復費用 | 8万円 |
ハウスクリーニング費用 | 5万円 |
退去時の支払い | 13万円 |

タバコの黄ばみや臭いによって壁紙の張り替えが必要になり、費用が高くなったケースです。
また、入居時に敷金を預けていなかったので、退去時には一度に13万円も支払うことになってしまいました。
退去費用が高額になりやすい設備や箇所
退去費用が高額になりやすく、特に注意すべき設備や箇所の修繕費用の目安をまとめました。
退去費用を安く抑えたい人は、以下の箇所・設備は丁寧に扱いましょう。
修繕費用の目安 | |
---|---|
キッチンの油汚れの清掃 | 15,000〜25,000円 |
壁の下地ボードの取り替え | 25,000~60,000円 |
壁紙の張り替え(全面/6畳) | 30,000~40,000円 |
柱の修繕 | 10,000~40,000円 |
カーペットの張り替え | 40,000~60,000円 |
フローリングの張り替え | 80,000~120,000円 |
壁紙の張り替えは高額なので注意が必要です。たばこを吸う人やペットを飼う人は特に高額になりやすいです。
なお、上記の金額は業者によって異なります。あくまで目安として参考にしてください。
退去費用をなるべく安く抑える方法
退去費用をできるだけ安く抑える方法を8つ紹介します。
いずれも実践しやすいので、できるだけ全て実践してみましょう。
・できるだけ室内に傷をつけない
・室内の設備は大切に扱う
・毎日念入りに掃除をする
・室内でたばこを吸わない
・退去立ち合い前に自分で掃除する
・管理会社に直接交渉する
最初からあった傷や汚れを記録しておく
入居前・当日に、自分がつけていない傷や汚れを発見した場合、必ず記録しておきましょう。
写真を撮り、不動産屋に報告すればOKです。
不動産屋によっては、お部屋の鍵と一緒に「現況確認書」を渡されます。現況確認書には、お部屋の間取りが記載されているので、該当箇所にどんな傷やへこみがあるか記入できます。
入居をはじめてから1週間~10日間ほどを過ぎると、傷やへこみはなかったとみなされる可能性があります。不動産屋への報告は早めに対応するようにしてください。
できるだけ床や壁に傷をつけない
室内の壁や床になるべく傷をつけないよう、注意して生活しましょう。
特にフローリングの床は傷がつきやすいので注意です。椅子を引いたり、重い物を落とすとすぐに傷がつきます。
カーペットやラグを敷いたり、椅子の足に保護カバーを付ければ傷を防げます。
また、壁に物を貼る・取り付ける際は、なるべく傷が残らないグッズを使いましょう。シールタイプの「コマンドフック」がおすすめです。
室内の設備は大切に扱う
入居者の故意過失によって壊さないよう、エアコンや給湯器などの室内設備は大切に扱いましょう。
エアコンのフィルター交換をこまめにしたり、給湯器の周りに物を置かなければ滅多に壊れません。
なお、経年劣化による故障を大家さんに報告せず、そのまま放置するのはやめましょう。報告する義務を怠ったとして、修繕費用を請求される可能性があります。
毎日必ず換気・掃除をする
カビやシミが残らないよう、換気と掃除を徹底しましょう。
特に、結露しやすい窓付近・冷蔵庫付近の床や壁は注意です。発生したカビが壁紙の奥まで浸透すると、なかなか落とせません。
定期的にお部屋を換気し、隅々までお部屋を掃除すれば、クリーニング費用も原状回復費用も安く抑えられます。
室内でたばこを吸わない
たばこのヤニによる汚れや臭いを防ぐために、室内でたばこを吸うのは控えましょう。
どうしてもたばこを我慢できない人は、毎日消臭剤を使い、こまめに換気しましょう。少しでも臭いがマシになります。
退去立ち合い前に自分で掃除する
退去立ち合い前に、できるだけお部屋を綺麗に掃除しておきましょう。
水回りや、冷蔵庫・掃除機の下など、普段は掃除しない部分を重点的に掃除すると良いです。
以下は、特に掃除すべきポイントです。
・洗面台や鏡の水垢、黄ばみ
・タイルやサッシの黒ずみ・カビ
・壁紙の汚れ
掃除するタイミングは、家具や段ボールを全て運び出した後がオススメです。
管理会社に直接交渉する
請求された退去費用が高いと感じたら、管理会社に直接連絡し、値下げ交渉してみましょう。
退去費用は多めに見積もった金額で請求されることが多いです。交渉次第で数万円下がることも珍しくありません。
交渉の際には、ただ漠然と「納得がいかない」と伝えるのではなく、国土交通省のガイドラインを持ち出すと効果的です。
ガイドライン上に書いてある内容と照らし合わせ、本当に合っているのかどうか聞けば、対応してくれます。
退去費用のバックレは不可能
退去費用の支払いは、ガイドラインと契約上で義務化されています。そのため、払わずにバックレることはできません。
もし払わないまま放置していると、必ず大家さんか管理会社から連絡が来ます。最悪の場合、裁判に発展します。
ガイドラインを読んでも納得できない・あまりにも高額な費用を請求されている場合は、消費生活センターに相談しましょう。
「消費者ホットライン」に電話をかければ、最寄りの消費生活相談窓口を案内してくれます。
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