最終更新:2020年8月3日

敷金が返ってくるために必要なことを徹底解説します!きちんと返金されるために、契約時、入居時、退去時にやるべきことを具体的に紹介し、国土交通省のガイドラインで定められている入居者の負担範囲と、特約の関係などをご説明します!
敷金が返ってくるために必要なこと
敷金が返ってくるために必要なことは本来なら負担する必要のない修繕費用を請求されないよう注意深く行動することです。
敷金は、家賃滞納や退去時の修繕費用にあてるために、大家さんに預けておくお金です。
修繕に使わなかった分の敷金は返ってくるはずですが、法律上の定めがないため、実際は、全額返還されなかったり、不当に返金額が減らされるケースが珍しくありません。
以下では、敷金がきちんと返ってくるためにやるべきことについて、賃貸契約時、入居日、退去日のそれぞれのタイミングごとにまとめています。
【賃貸契約時】特約の内容を確認する
賃貸契約時には、自分の負担することになる費用について、特約の内容を含めて100%理解するべきです。少しでも分からない点があったら、何度でも不動産屋に確認しましょう。
法律上の規定がないため、賃貸契約書には、入居者にとって不利な特約が書かれていることがあります。例えば、以下のようなものです。
・敷物による床の変色、色移り、カビなど
・台所の油汚れ、すす、焦げなど
・退去時のハウスクリーニング費用
書面には小さな文字で難しい内容が書かれているので、あまり理解しないままサインしてしまう人もいますが、契約締結後に気付いても、変更できません。
ただし、関東の物件で「ハウスクリーニング特約」を撤回するのは難しいです。関東では、入居者が退去時のクリーニング代を負担することが、ほとんど慣例になっているからです。
【入居日】管理会社の立会いのもと傷や汚れを確認する
入居当日には、管理会社や大家さんに立ち合いをお願いして、初めからお部屋についている傷や汚れを、一緒に確認するべきです。
以下に、入居日に確認すべき項目についてまとめたので、活用してください。
・玄関の扉に不具合はないか?
・チャイムは鳴るか?
・インターフォンは機能するか?
・コンロは使えるか?
・換気扇は動くか?
・水がきちんと出るか?
・お湯は出るか?
・蛇口がゆるくなっていないか?
・水はきちんと流れるか?
・排水溝から悪臭はないか?
・トイレの水は流れるか?
・ホルダーなどの備品が壊れていないか?
・カビはないか?
・扉や窓の開け閉めに問題はないか?
・床や壁、天井に傷や汚れはないか?
・照明はつくか?
・エアコンはきちんと動くか?
・不要なものが室内にないか?
上記の内容を紙面にまとめ、管理会社と自分で1部ずつ保管しておきましょう。問題のある箇所については写真を撮り、共有するのも重要です。
入居時のお部屋の状態が客観的に記録として残っていれば、退去時に不当な請求を受ける可能性がかなり下がります。
【退去日】管理会社の立会いのもと修繕箇所を確認する
退去日には、大家さんや管理会社の立会いのもと、自分が費用を負担することになる箇所を一緒に確認すべきです。入居日と同じように、書類に控え、写真を撮りましょう。
修繕箇所を控えておけば、後になってから、身に覚えのない費用を請求される可能性が下がります。入居日に控えておいたチェックリストと写真を使いながら立会いするのが、最も効果的です。
また、国土交通省が定めている「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にしながら、チェックを進めることも重要です。入居者が負担しなくていい傷や汚損の範囲が示されています。
後日、修繕費用について連絡あった際に、もしも立合い時の内容とズレがある場合は、指摘して修正してもらいましょう。
国土交通省のガイドラインが入居者の負担範囲について定めている
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」とは、退去費用についてまとめた国の方針です。お部屋の修繕について、入居者が負担する範囲を具体例を挙げて示しています。
・落書きによる壁紙の汚損
・結露を放置したことで発生したカビ
・雨水による畳、フローリングの変色
・金具のない天井につけた照明器具の跡
・家具の移動によってできた傷、汚損
・キャスター付のイスによるキズ、へこみ
・布団を敷きっぱなしにして発生したカビ
・ペットによる傷、汚損、におい
・エアコンの水漏れによる壁や床の腐食
・台所、換気扇の油汚れ
・風呂、トイレ、洗面台のカビや水垢
・過度なタバコのヤニ汚れ、におい
・釘穴、ねじ穴
・鍵の紛失、破損
・こぼした飲食物を放置してできた汚れ
・冷蔵庫、TVによる壁の電気ヤケ
・ポスター、カレンダーなどの跡
・画びょう、ピンの穴
・エアコン設置によるビス穴、跡
・自然災害によるガラスの損傷
・耐用年数経過による設備品の故障
・破損や紛失以外の鍵の取り替え
・畳の表替え、裏返し
・フローリングのワックスがけ
・網戸の張り替え
・エアコンの内部洗浄
・台所、トイレの消毒
ガイドラインによると、入居者が退去時に負担するのは、不注意で付けた傷や、掃除せずに放置したせいでこびり付いてしまった汚れなど、いわゆる「故意・過失」のものだけです。
また、上記の「入居者が負担する修繕範囲」に含まれている傷や汚れであっても、壁紙やフローリングを全面張り替えた費用を、入居者がすべて負担する必要はないです。
ガイドラインによると「1平方メートル単位」を基準に、当てはまる範囲だけが、大家さんの請求できる範囲です。
もちろん、古くなったエアコンを新しいものに変えるなどの、お部屋を改善するための費用も、大家さんの負担です。
原状回復とは?
ガイドラインの題名にも含まれている「原状回復」とは「普通に使えばこのぐらいの汚れになるであろう状態に部屋を修繕すること」です。
よく「入居したときの状態に戻すこと」と勘違いしている人がいますが、壁紙の日焼けや、網戸の劣化などは、経年劣化・自然損耗にあたるため、入居者の負担範囲から外れます。
原状回復とガイドラインの内容については、もっと詳しく解説した記事があるので、そちらを参考にしてください。
▶「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」についての詳しい解説はこちら
ガイドラインより契約書の特約が優先される
国土交通省のガイドラインよりも賃貸契約書に書かれている特約のほうが優先されます。ガイドラインは、あくまで国が定めた基準でしかないからです。
特約のついた賃貸契約書にサインしてある以上、退去時になってから「ガイドラインと矛盾している!」と主張しても、効果はありません。
損をしないためにも、入居時にはきちんと契約書の内容を理解して、サインしましょう。
敷金が返ってきた人は約7割
リクルート住宅総研が発表した「賃貸住宅生活実態調査」によると、東京都内で少しでも敷金を返還された人の割合は、約7割でした。
以下の表は「預けていた敷金の何割が返金された?」という基準で、返還された人をまとめたものです。
返還された人の割合 | |
---|---|
全額返還 | 12.2% |
50~100%未満の返還 | 41.3% |
50%未満の返還 | 15.5% |
返還無し | 31.0% |
出典:リクルート住宅総研「賃貸住宅生活実態調査」
もっとも多いのは、預けた敷金の「50~100%未満」が返還された人で、全体の41.3%でした。「全額返還」「50%未満の返還」と合わせると69%の人が返金されています。
ただし、敷金がいっさい返金されなかった人が31%もいるため、返金額の平均は「敷金の42.3%」でした。
敷金2ヶ月分を入居時に預けていた人でも、返ってくる金額は1ヶ月分未満のことも珍しくないことが分かります。損をしないために、特約に気を付け、ガイドラインの内容を覚えましょう。
敷金の返金トラブルは専門機関に相談
敷金の返金をめぐってトラブルになったときは、以下の専門機関に連絡すると良いです。相談料は無料です。青い文字をタップすると、それぞれの公式サイトに移動できます。
上記の専門機関は「修繕の必要がないのに敷金を返金してもらえない」「付けていない傷が修繕対象になっている」などのトラブルに具体的な対処法を教えてくれます。
自分に非がないと分かる証拠があるほうが良いですが、相談するだけでも効果はあります。管理会社のなかには「宅建協会に報告します」と伝えると、対応が改善されるところもあるからです。
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