最終更新:2020年11月20日

賃貸物件の経年劣化とは?何年住めば経年劣化になるの?という疑問を解決します。経年劣化の対象範囲や原状回復と契約時の特約事項、経年劣化に関するトラブル対処方法も紹介します。賃貸物件の経年劣化を調べる参考にしてください。
経年劣化とは?
経年劣化とは、時間が経過するとともに品質が低下することです。賃貸の場合、物件の壁紙や床が日照によって変色したり、雨や湿度で窓枠などのゴムが傷むことをさします。
また、普通に暮らしていれば自然とできてしまう床のすり傷や凹み、テレビ・冷蔵庫の背面の電気焼けのことを通常損耗といいます。
退去費用のうち「経年劣化」と「通常損耗」の傷や汚れは大家さん負担の修繕となるので覚えておきましょう。
経年劣化と通常損耗の原状回復になるもの
「経年劣化」と「通常損耗」にあたるものの例をまとめました。以下に当たるものは入居者が修繕費用を負担する必要はないとされています。
・破損や紛失以外の鍵の取り替え
・畳の表替え、裏返し
・ポスター、カレンダーなどの跡
・エアコン設置による跡
・網戸の張り替え など
・冷蔵庫、TVによる壁の電気ヤケ
・画びょう、ピンの穴
・エアコンの内部洗浄
・フローリングのワックスがけ
・台所、トイレの消毒
・ベッドやソファを置いていた床やカーペットの凹み など
設備ごとに「耐久年数」の目安が定められています。一般的には、壁やカーペットの耐久年数は6~8年とされていて、その場合、経年劣化とみなされ、原状回復費用は大家さん負担となります。
設備ごとの耐久年数は6~8年が目安
耐久年数とは、設備の資産や価値が残っている期間のことで、食品などの賞味期限のようなものです。設備の耐久年数によって、入居後何年住めば経年劣化に当てはまるのか決められます。
設備ごとの耐久年数は、以下にまとめています。
耐用年数 | 設備 |
---|---|
5年 | 流し台 |
6年 | 壁紙、カーペット、エアコン、インターホンなど |
8年 | 書棚、タンス、戸棚などの金属製ではない家具 |
15年 | 便器、洗面台の給排水設備、金属製の家具など |
耐用年数が6年のものは、同じお部屋に6年住み続ければ経年劣化とみなされるので、退去時の費用は大家さんが負担します。
ただし、フローリングや畳は耐用年数がないので、建物自体の耐用年数として考えます。
経年劣化に当てはまらない10個のケース
普通に暮らしていれば自然とできる傷や汚れは基本的に経年劣化の対象ですが、以下のようなケースは経年劣化に当てはまりません。
退去時に、クリーニング・修繕費用が掛かるので注意しましょう。
引っ越し時にできた傷や汚れ
引っ越し時の荷物の搬入によりできた壁やフローリングの傷や汚れは、自然にできるものではないので経年劣化に当てはまりません。
ベッドやタンスを長年使用してできたへこみや傷は、生活するうえで年月が経てば自然とできるものなので、経年劣化とみなされます。
タバコのヤニによるクロスの黄ばみ
タバコのヤニによるクロス(壁紙)の黄ばみは、普通に住んでいたらできない汚れのため経年劣化に当てはまりません。
たまに「タバコを吸う人であれば、自然にできる汚れではないか?」という人がいますが、黄ばみの原因がタバコなので自然にできる汚れではありません。
キャスター付き椅子やキャリーバックによる傷やへこみ
キャスター付き椅子やキャリーバックによる傷やへこみも、経年劣化に当てはまらないので注意しましょう。
キャスター付き椅子やキャリーバックを転がせば傷ができると事前に予測できるので、故意的過失です。
清掃不足による油汚れ・スス・カビ・腐食
長年掃除をしていなくて垢やカビなどがこべりついてとれない場合は、管理を怠った責任が入居者にあるので経年劣化に当てはまりません。
ただし、埋め込み式の換気扇で業者じゃないと掃除できない場合は、経年劣化とみなされます。
冷蔵庫下のサビ
冷蔵庫下のサビは、すぐに拭いて消えるものであれば経年劣化になりますが、長年放置したせいで拭いても消えない場合は自己負担です。
サビという汚れを放置していたとみなされるので、入居者が掃除を怠った責任と判断されます。
重量物をかけるために開けた穴
出典:https://www.b-interior.jp/
付長押(つげながし)やピクチャーレールのように、壁に穴をあけて洋服や写真などを飾れる器具を取り付けた場合は、自ら壁に傷をつけているので経年劣化に当てはまりません。
ただし、カレンダーをかけるための画鋲の穴は、壁紙の後ろにある下地ボードを貫通していなければ、日常生活に必要な穴として経年劣化に含む場合があります。
ペットによる傷や汚れ
ペットによる、壁や柱の傷や汚れは経年劣化に当てはまりません。
また、尿や糞などによるシミなどもキレイに掃除すれば未然に防げたことなので、飼い主の責任放棄とみなされます。
使用していた設備が壊れて放置していたもの
故意的に壊したわけではなくても、ドアノブなどの設備や備品が壊れて退去日まで大家さんに連絡なしで放置していたものは、経年劣化に当てはまりません。
また、自分で応急処置をした場合でも、大家さんに壊れたという連絡を入れていない時点で自己責任になります。
鍵の紛失や変形
鍵の紛失や変形は、使用していた入居者の責任になります。
ただし鍵穴の破損の場合は、よほど変な使い方をしていない限り普通に生活していて壊れるものではないので、経年劣化による破損と判断されることが多いです。
故意的にできた傷や汚れ
壁を殴ってできた傷や物を落としてできた傷など、普通に生活していてできるはずのない傷や汚れは経年劣化に当てはまりません。
ガイドラインと契約書の特約について
国土交通省により「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が定められています。
ガイドラインには、お部屋の退去に関する原状回復の範囲を定めており、どの範囲が経年劣化に含まれるのかについても記載されています。
退去前に、設備の傷や汚れが経年劣化に当てはまるか知りたい場合は、ガイドラインを確認しましょう。
ガイドラインで確認しても、契約書に特約事項がある場合は契約書の内容が優先されます。
例えば「対処時のエアコン清掃代は一律●万円必要」など書かれていた場合は、支払う必要があります。
ただし「部屋の修繕にかかる費用はすべて入居者が負担する」などの一方的な内容の特約は、無効だと主張できる場合があります。
経年劣化に関するトラブル対処方法
不動産から渡された退去費用の見積もりに経年劣化分が入っているのでは?と思ったときや、高額請求された場合の退去方法を紹介します。
最悪の場合、民事裁判を起こすことも手ですが、紹介する2つの方法を先に試してください。
見積もりに疑問を感じたらすぐに不動産屋に確認する
見積もりに疑問を感じたら、すぐに不動産屋に「●●って経年劣化に当てはまるんじゃないですか?」と確認してください。
国土交通省の「原状回復のガイドライン」と照らし合わせて聞いてみると、より話がまとまりやすいです。
筋が通っていれば、経年劣化分を除いた見積もりが再度郵送されてきます。
消費生活センターなどの窓口に相談する
不動産屋大家さんに確認したけど納得がいかないという人は、消費者センターや国民生活センターに電話しましょう。
「退去費用の見積もりをもらったんですが、明らかに経年劣化になるものが含まれているので相談させてください」と伝えれば、窓口の人が対応してくれます。
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